令和のアホ漫才が蘇る:M-1グランプリ2024準優勝・バッテリィズの挑戦

12月22日に開催された『M-1グランプリ2024』は、漫才ファンにとって特別な一日となりました。令和ロマンの連覇が話題をさらう一方、準優勝に輝いたバッテリィズの漫才も多くの注目を集めました。「アホすぎて正論に聞こえる」という新感覚の漫才スタイルで、観客と審査員を魅了した彼ら。その背景やネタ作りの哲学、今後の展望について掘り下げてみたいと思います。

バッテリィズ
メンバー:エース 寺家
結成年:2017年
事務所:吉本興業
活動時期:2017年10月15日 –
出身:NSC大阪校36期
現在の活動状況:よしもと漫才劇場
芸種 :漫才、コント
ネタ作成者:寺家

バッテリィズが作り出す「令和のアホ漫才」

バッテリィズは、大阪出身の漫才コンビで、エースと寺家剛の二人組。彼らのネタは、「アホすぎるボケが逆に正論に聞こえる」というユニークな特徴を持っています。エースの天然さはもちろんのこと、寺家剛の冷静なツッコミやネタ作りの戦略が絶妙に組み合わさり、観客を笑わせるだけでなく「考えさせられる」要素をも内包しています。

例えば、「天才とは1パーセントのひらめきと99パーセントの努力」というエジソンの名言を聞いたエースが、「気合いも必要やろ」と憤るシーンは、ただのアホ発言にとどまらず、努力の意味を考えさせるユーモアを持っています。こうした発言が、観客の共感を呼び、「令和のアホ漫才」という新ジャンルを確立させたのです。

M-1グランプリ2024で見せた実力と哲学

『M-1グランプリ2024』では、バッテリィズの独創的なスタイルが大きな話題となりました。最終決戦では「世界遺産」をテーマに、エースがサグラダ・ファミリアを「工事現場」と称するシーンが観客を爆笑させました。このネタの背景には、寺家剛の徹底したネタ作りの哲学があります。

寺家剛は、『M-1』という場において、ツッコミを控えめにする戦略を取っています。ツッコミが目立ちすぎるとボケのインパクトが薄れるため、エースが全力で「アホさ」を発揮できるよう調整しているのです。この戦略が功を奏し、審査員からも「無理に笑いを取りに行っていない」と高く評価されました。

アホとクレバーの絶妙なバランスが未来を拓く

バッテリィズの成功は、エースのアホさだけでは語れません。その裏には、寺家剛のクレバーな計算と「漫才の理想形」を追求する姿勢があるのです。例えば、ネタの冒頭で必ずエースのアホエピソードを挟む「ツカミ」の手法は、観客の興味を引きつけるための工夫。寺家剛自身が「会話の中に自然に忍ばせる」と話しており、この柔軟なアプローチが彼らの魅力をさらに引き立てています。

また、審査員の博多大吉が「長らく途絶えていたアホ漫才を令和に蘇らせた」と評価した通り、彼らのスタイルは漫才界に新たな風を吹き込んでいます。バッテリィズが高学歴コンビである令和ロマンや真空ジェシカと競り合った姿は、漫才が学歴や知識ではなく、発想と表現力で勝負できる場であることを証明しました。

あとがき

バッテリィズの漫才は、「アホ」という言葉の奥深さを再発見させてくれます。エースの純粋さと寺家剛の計算されたネタ作りが生み出す笑いは、単なるお笑いを超え、人々の心を温かくしてくれます。令和の時代に生まれた新たな「アホ漫才」は、これからも漫才界に大きな影響を与えることでしょう。彼らがさらにどんな笑いを届けてくれるのか、今後の活躍が楽しみでなりません。